●Winnyは無罪! Vol.2 2004/06/01
Winnyの開発者が起訴され、いよいよ舞台が裁判所に移ることになりました。
恐らく長い戦いになるんでしょうが、結審するころには技術進化がすすんでWinnyがすでに過去のものになってるんだろうなぁと想像できます。
京都地検は、「著作権侵害行為があると知りながら、200回以上の改変を行って送受信者が特定できないよう匿名性を強化したこと」を幇助にあたるとしてるようですが、ここで頭において置く必要なことがあります。
それは、偽装・仮装による匿名技術こそがグローバル・ネットワークの基本技術ってことです。

具体的にいうと、NATやIPマスカレード、PROXYサーバーのことで、これはローカルなネットワーク(LAN)から外部のグローバルなネットワーク(インターネット)にアクセスするときに用いるIP変換技術のことです。
ローカルなネットワークのIPアドレスのままでは外部のインターネットに接続できないので、IPをグローバルなものに変換するのがNATやIPマスカレードで、代理処理を行うのがPROXYサーバーです。
PROXYサーバーは代理でデータを送受信する機能を持っていて、要求元のIPアドレスはそこで隠されることになります。
この機能は必ずしもローカルなIPアドレスを変換するだけでなく、グローバルなIPアドレスの変換にも使用できます。俗にいう「串を刺す」というのがそのことで、PROXYサーバーを経由してIPアドレスを隠蔽することを指しています。
IPアドレスの隠蔽をすれば匿名でネットにアクセスできるようになるんですが、そうすれば怪しげなアダルトサイトにアクセスしても相手に自分のIPアドレスを知られなくてもすみます。
しかし、クラッキングなどの不正アクセスや掲示板などに書き込みをするときの偽装工作にも使用できます。
PROXYサーバーの機能にはキャッシュ機能などのその他の機能があって、キャッシュ機能は同じデータを2度取得しなくてもいいようにできたり、キャッシュをPROXYサーバーに接続している全ユーザーで共有することもできます。
前回記述した、SSLやSSHなどの暗号化技術にしろ、今回のIP変換技術にしろ、匿名にすることを主たる目的としている技術なんですが、これらの技術はインターネットになくてはならない技術なんですね。
だから200回以上改変を行おうが、開発したソフトが著作権侵害行為に使われるのを認知していようが、匿名化技術の提供を幇助罪に問うのはナンセンスでしょう。

話がややそれますが、とあるネット記事によれば」「ウィニー開発者の著作権法違反ほう助事件の着手は、鳥インフルエンザの問題で遅れただけなのに、捜査書類流出の仕返しのように言われて残念だ」とあったんですが、 京都府警ではハイテク捜査課が鳥インフルエンザの問題も担当してたんですね(^^;。(ちなみに鳥インフルエンザも結局感染ルートなどの解明もなくいつのまにか消滅しましたね)

最後に、事件の着手を遅らせても、証拠隠滅や逃亡の恐れはないと判断してたんだから、保釈を認めても問題ないんじゃないでしょうか?、と締めくくっておきます。
●Winnyは無罪! 2004/05/13
Winny解説サイトまでが著作権法違反幇助罪容疑をかけられて、いよいよ「Winny冤罪」騒動も「聖戦」の様相を呈してきました。
解説サイトが幇助にあたるんなら、ちまたにあふれるWinny関連本や雑誌なんかも当然幇助にあたるはずで、(三才ブックスなんかとっくに倒産してるはず(^^;)
さらにNo1ブロードバンド事業者なんかは広帯域の通信インフラを普及させるのに系列の出版社の雑誌でWinnyを大々的に取り上げて、「ブロードバンドに加入するとお宝ゲットしまくり」みたいなことをやってるんですけどねぇ。

役人というのは本当に「責任」というのにアレルギーを持っているようで、自分に責任が振りかかってくるととたんにパニックに陥り、 ヒステリーを起こして他人に責任転嫁をする、まさに粘着気質(保守的で精神的テンポがゆっくりしているが、ときに爆発的に感情放出をすることがある気質)ですね(^^;。
京都府警下鴨署の捜査関係書類インターネット流出事件のとばっちりがこんな形でネット技術の未来を左右する問題に発展してしまうとは、ほんと粘着恐るべしです。

お偉いさん「なんでこんなことになったんや?」
下っ端「全部Winnyが悪いんです」
お偉いさん「Winnyってなんや?」
下っ端「違法なソフトです」
お偉いさん「なら摘発せんかい!」
下っ端「ラジャー!」

ってなやりとりがあったかなかったかどうかはさておき、法的な問題と同時に悪意のこもったネガティブキャンペーンによる社会的地位の抹殺というのにも対抗していかないと駄目ですね。

法的なことをいえば、ピアツーピアの特徴であるサーバーを介さないという点ですが、これは特に問題なところはなく、 ピアツーピアソフトはサーバー機能とクライアント機能の両方を持っているというだけの話でサーバーを介さないというよりはそれ自体がサーバーと考えればいい。
次に暗号化による情報の隠蔽ですが、これもバケツリレー方式でデータを受け渡しするインターネットでは途中でカード番号を盗まれないためのSSLなどの暗号化通信がすでにあり問題はない。
その次に著作権を侵害する違法使用されるという認識があったかなかったかに関しても、例えば大手レンタルビデオ屋にCD−RやDVD−Rが売っていてもそれを幇助として摘発しないんだから問題ないでしょう。(CD−RやDVD−Rを何に使うかの認識はまちがいなく持っているでしょうから)

違法コピーといいますが、そもそもコンピューターネットワークというのはそれ自体が複製機で、例えばこのHTMLのページは、まずわたしが自分のマシンからサーバーにデータを転送し、サーバー側で受信したデータからファイルを作成する。
さらにこのページをブラウザで閲覧する時に、サーバーからファイルのデータが送信されて各コンピューターでファイルとして復元されてる。つまり、このページは閲覧された回数だけ複製されている。
もっと範囲を広げていえばデジタル機器というのは再生機でデータを復元しやすいように情報を符号化しているのですが、これは複製するということに他ならない。
インターネットやデジタル機器は著作物にとって諸刃の剣であるが、そのことは機器を一般的に普及させる以前にわかっていることで、それを承知で普及させてる以上、それを利益にするのも不利益にするのもコンテンツを提供者する側の問題でもあると思います。(ほとんどの機器メーカーは系列に音楽や映画の関連会社を持っている)
著作権、著作権と叫んでる人にいっときますが、Winnyをつぶせば現状を打開できるだろうというのは、まったくの認識不足で、技術革新を加速させているのは個人ではなく大企業なわけだから、個人叩きをしたところでまったく無駄というもんです。

とにもかくにもこの「聖戦」ぜひとも無罪を勝ち取ってほしいですね。
●ジョーク理論 2002/11/02
「世界で一番面白いジョーク」を記念して?、ジョークの理論についての考察です。(^^)

ジョークとは以下の4つの基本要素で構成されるのもである。
1.非論理(非常識、非日常、非現実を含む)
2.対照 [落差・ギャップ](ノッポとチビ、金持ちと貧乏人など)
3.繰り返し[反復・複写・模倣](同じことを何度か繰り返す、まねるなど)
4.時間(タイミング)
ここで1.非論理について考える
ジョークが非論理であることは自明で
例1:
A「昨日おかんが高熱だしてなぁ」
B「そら大変やなぁ」
A「元気に走りまわっとったわ」
B「なんじゃそりゃ」

これはジョークである。
ところがジョークが非論理である場合、「ジョークは非論理」という論理の非論理「ジョークは論理」もまたジョークとなる。
例2:
A「昨日おかんが高熱だしてなぁ」
B「そら大変やなぁ」
A「急いで救急車呼んだんや」
B「ほう・・・・って普通の会話やんけ」

これもジョークである。実際「スカシ芸」や「オチのないジョーク」というネタは成立する。
しかし「ジョークは非論理」という論理は論理であるから非論理ではない。では、ジョークでないジョークは存在するだろうか?
例3:
「ジョ〜ダンじゃないよ〜」byビートたけし?

これもジョークである。ジョークでないジョークはたしかに存在する。
以上のことから「ジョークはそれがジョークであるかないかにかかわらずジョークとして成立する」の判断は可能ということがいえる。
それでは「ジョークはそれがジョークであるかないかにかかわらずジョークとして成立しない」はどうだろうか?
例4:
「これはジョークである」

これはジョークになっていない。すなわち「ジョークはそれがジョークであるかないかにかかわらずジョークとして成立しない」ことも判断できることになる。
これらのことを合わせて言い換えると「ジョークはそれがジョークであるかないかにかかわらず、それがジョークであるかジョークでないか証明可能である」といえる。

ゲーデルの第2?不完全性定理「命題ならばその命題は証明不可能である」のジョーク「ジョークならばそのジョークが証明可能か不可能かにかかわらず証明可能である」は正しい。何故ならそれがジョークだからである。
おあとがよろしいようで。m(__)m