●アンチウイルスソフト 03/10/2006
ソフトメーカーの広告宣伝効果の成果なのか、どうも一般の人はアンチウイルスソフトをインストールしているからウイルスにかからないと考えてるようですね。
これは大きな勘違いで、アンチウイルスソフトはウイルスからPCを保護するツールではなく、あくまでウイルスに感染したファイルを検出するツールなんですな。
ソフトの機能としてウイルスに感染したファイルからウイルスを除去する機能があったりするんですが、基本はファイルをチェックして感染してるかどうか調べるソフトなんです。
だからネットからムフフな画像や動画を見ようとファイルをダウンロードして、クリックするとそれが偽装ウイルスなら即感染します。
また設定によりますが通常アンチウイルスソフトの定期スキャンは全ファイルを調べることはしないです。
全ファイルを調べるとファイル数が多ければ2,3時間以上もかかりますから、定期スキャンでは主にシステム関連ファイルのみに限定しています。
だから「ウイルスバスターをイントールしてるからウイルスにかからないので安心」なんて考えてはいけません。
まず股間のたぎりを一旦鎮めて、ファイルをチェックさせてからムフフを堪能しましょう。
ちなみにわたしはフリーで使えるBitDefenderというのを使ってまして、これがなかなかいいソフトです。
HDDスキャンはZIPやLHA、さらにCDやDVDのISO形式イメージファイルの中身までチェックします。
ファイル単体チェックも可能でファイルやフォルダを右クリックして該当ファイルやフォルダ内のファイルのみのチェックを行えます。
Winnyを使っている人も使っていない人も初めてのファイルはまずチェックするという習慣をつけましょう。
ちょっと待てムフフはファイルを調べてから!
●ゲーム理論から情報理論へ 05/03/2001
いろんな理論はつながっているという一例を。
ゲーム理論のn人ゲームは結託と分配で構成されますが、仮に分配が存在しなかった場合どうなるでしょう?
分配が存在しない(つまりどんな戦略をとっても分配が0になる)わけですから各プレイヤーはあらゆる戦略に等確率で分散していく。
こういう状態は熱力学の分子の動きのようにエントロピー増大の方向へ向かう。

例えば二つの部屋があって、その右の部屋にある気体を閉じ込めておく。
二つの部屋はつながっており部屋をわけるドアを開放すると右の気体が二つの部屋に均等に拡散する。
これは気体の分子があらゆる方向に等確率で動く場合、右の部屋(あるいは左の部屋)に全ての分子が集まる確率が低いためです。

で、このへんのことは統計力学で解析されていて、ある特定の状態から可能性のある全ての状態に統計的に拡散していくという法則(エントロピー増大の法則)に基づいている。
エントロピーはS=k*log Wの式で表される。

では分配は存在するが分配の値がわからない場合はどうなるのか?
分配の値がわからない場合、プレイヤーは可能なあらゆる戦略を検証することになるから分配の値がわかるまで結局分配が0と同じくあらゆる戦略をとることになる。(分散していく)
しかし、分配の値があきらかになれば通常のn人ゲームとして成立する。
このことはエントロピーと情報量の関係であらわされる。
情報量とはI(P)=−k*log Pであらわされているがこれはエントロピーの負に相当する。(負のエントロピーをネゲンエントロピーと呼ぶ)
分配についてのある情報を入手する(負のエントロピーを加える)とエントロピーは減少する。
どういうことかというと、分配に関する情報を入手するというこは戦略の選択肢を減らしていく(意味の無い戦略や損をする戦略などが選択肢から外れていく)ことにつながるからです。
n人ゲームなのでなので一意に戦略が決まることはないが(優越する分配がかならずある)有効な戦略に選択が限定されていく。
別の例で言いかえれば、地図を持たない人が道路に関する情報を入手していくことで特定のコースを選んでいく過程と同じです。

変化の激しい昨今、理論を理解してしっかり切りぬけないとね。(^^)
●ゲーム理論 応用編 04/25/2001
ゲーム理論も第3回目ですが、いまの国会および政局が非常に例題として適してるで応用してみましょう。

n人(nは3以上)ゲームは結託と分配で構成されるものです。
最近ニュースで政党の派閥に対するコメントで孔子の「人が3人あつまれば派閥ができる」という引用を用いてますが、これはまさに派閥=結託すなわち3人多数決ゲームのことです。
(3人多数決ゲームとは単純に2対1ゲームのことで3人のプレイヤーが2対1になれば2人が勝つというゲーム)

n人ゲームは結託と分配で構成されるので基本的に結託=派閥ができるのはあたりまえ(というか派閥をどうつくるか自体がゲーム)なわけです。(^^;
では、どうやって結託=派閥ができるのか(プレイヤーの戦略がどうきまるのか)というとそれは分配によって決まります。
3人多数決ゲームで2対1になったときに勝ったほうが1、負けた側は0とする。勝った側は1を得るわけですがプレイヤーは2人いますからそれをさらに分配することになる。
仮にA、B、Cのプレイヤーが(A、B)、Cと分かれたとしてその分配V1を(A=1/2、B=1/2、C=0)にします。
AとBは1を半分に割って1/2づつ公平にわけこれでゲーム終了・・・とはならないのがn人ゲームのポイントなんですね。

「n人ゲームの分配はどのような分配に関してもそれを優越する分配が必ず存在する」

優越する分配とはn人ゲームで2人以上のプレイヤーの分配が多くなる分配のことで、2人以上の分配が増えれば結託に変化が発生する(1人だけだと結託が変化しない)。
3人ゲームの場合、AとBが半分づつ分配したときにプレイヤーCがBに話を持ち掛ける。
「Aと組んだら半分だが、俺と組めば2/3やろう」。
この分配をV2とするとV2は(A=0、B=2/3、C=1/3)になり、B(2/3>1/2)とC(1/3>0)の分配がV1の分配よりも増え、A、(B,C)と結託構造が変化します。
しかしAが今度はCに「半分やろう」と話を持ちかけるとその分配はV3(A=1/2、B=0、C=1/2)となって分配V2を優越する。(AとCの分配が増えている)
これでまた結託構造が変化し(A,C)、Bになるが今度はBがAに「3分の2やろう」と話を持ち掛ける・・・・

どのような分配もそれを優越する分配が必ず存在する以上、n人ゲームの解は1つに定まらない。政局が混迷するのはあたりまえです。(^^;
ちなみに派閥優先に大臣の椅子を配分するというのは、全ての有効な結託の組み合わせでそれぞれの貢献度を計算し、その平均を求めるシャプレー値の考え方でこれも分配計算の1つの手法だったりします。
単純かつ複雑、複雑かつ単純。n人ゲームの特性ですね。
●情報理論 08/14/2000
情報技術って言葉が氾濫してますが、そもそも「情報」ってのはなんでしょう?ということで今回は「情報」を数学的に考察する情報理論のお話を。
情報理論というのは1947年頃にノバート・ウィーナという人とクローノ・シャノンという人がそれぞれ(共同ではなく全く別に)研究をはじめた情報に関する数学的考察です。
特にシャノンがベル研究所にいたので情報通信分野に多大な影響をあたえた理論です。

情報の数学的考察というのは情報を数値化した情報量というもをまず定義しないといけません。そこで「情報」の性質を考えます。
情報というのは「ある事象が発生したときにそれを知ること」でありそれが明確で具体的なほど情報量が多いと考えられる。

例えば「神戸市は関西にある」という情報よりも「神戸市は兵庫県にある」という情報の方が情報量が多い。
またある事象が起こる可能性が高い場合それを知ったときと起こる可能性が低い場合それを知ったときに低い方を知ったときのほうが情報量が多い。
今年巨人が日本一になるよりも千葉ロッテが日本一になった時の方が情報としては価値があがる(つまり情報量が多い)。
さらに情報は加法性がある。例えば「XXさんは昨日が誕生日だった」という情報と「XXさんは19??年生まれだ」という情報を加えると「XXさんの年齢」がわかり情報量が増える。
これから、まず情報量Iをある事象Eが起こる確率P(E)の関数I(P)として考える。

i)情報量I(P)は確率P(E)が低ければ大きくなり、確率P(E)が高ければ小さくなる関数である。(単調連続減少関数という)
ii)ある事象E1が起こる確率P(E1)と別の事象E2が起こる確率P(E2)が同時に起こる確率をP=P(E1)*P(E2)としたときそれを両方知ったときの情報量は
I(P)=I(P(E1)) +I(P(E2))である。
この二つの定義から情報量をあらわす関数I(P)は
I(P)=−k*log2 Pに限られるということが導かれる。
この関数は2を低にした対数関数なので情報量Iは2のn乗のnの部分(指数部)ということになります。つまり情報量は2進数の桁数と考えることができます。(ちなみに情報量の単位はビット)

とまぁ情報理論の序段はこんな感じです。
情報通信技術を支えている情報理論、この理論の情報量はかなり大きい数値ですね。